付き合いが長くなったり、結婚生活がある程度続くと、「自分のパートナーはいつもこうだから…」とか、「あの人はこういう性格だから。」と「過去」の出来事と「今」をつなげて考えることが多くなると思います。
食べ物の好き嫌いなどは、過去も今もほとんどといって変わらないことが多いと思いますが、「意見」や「気持ち」「考え方」は、その時々で変わる(変化していく)ことがよく起こります。
たとえば、ケーキが大好きな人がいます。
その人の目の前には大好きなケーキがあります。ですが、ちょうどお腹いっぱいの食事を終えた後だったらどうでしょう。
いつもと同じようにケーキを食べたいとは思わないかもしれません。
また、その人が乗り物酔いをする人だったらどうでしょう。車酔いのときは、ケーキどころか甘いものもお食事も食べたいとは思えないですよね。
上記は少し極端な例ですが、人の気持ちや感じ方というのは、その日そのときの体調でも左右しますし、心に余裕があるかないかでも変化します。
こういったことをふまえても、「彼(彼女)は、こういう人だから。」という過去からの情報はそれほど重要ではないのです。ですが、多くの人は、過去の情報の積み重ねで特に、自分のパートナーをみること多くあります。
すると、相手の考えを勝手に決めつけてしまったり、決めつけるだけではなくそのように扱ったりしてしまいます。
相手を決めつけて扱うことの弊害
自分のパートナーはこういう人だと決めつけて扱っていくと、そうされた人の心はとても悲しくなったり、話すことすら面倒になるときがあります。
こういった状況に加え、自分の意見を伝えることが苦手な人の多くは、(男性でも女性でも)相手に自分の気持ちを話すことすらなくなってくるようです。
すると、どんどん心が遠くなるような感覚になり、「2人でいるのに、なんだか寂しい…..」というような不安な気持ちや寂しさがわいてきたりします。
日常的に、自分の思ったことを素直に表現する、”夫婦のルール”としてお互いの気持ちを話す時間をつくっている、というパートナーの場合はこれに当てはまらないですが、そのようなパートナーシップをもっているカップルは稀(まれ)です。
そして、決めつけがあるときというのは、相手を思いやっているということよりも「物事をスムーズにすすめたい」というような、自分が相手に振り回されないよう相手をコントロールするときにこういった決めつけ事をしている場合が多いです。
自分の中では、物事がスムーズにすすむと心地よく、安心感があるかもしれません。でも、そこには「相手を思う気持ち」というのはほぼありません。ですから、相手は寂しさや悲しみを感じてしまうのです。
そして、寂しい気持ちを決めつけられているときに相手と話すのは、実はとっても難しいことなのです。
相手を決めつけてしまう人のよい点
パートナー(相手)の気持ちを決めつけてしまうことで、相手とのコミュニケーションが減り、少しずつ心が離れていくとお伝えしました。ですが、そこに思いやりがあった場合はどうでしょう。
相手を決めつけてしまう人の多くは、段取りがとても得意だったりします。
段取りが得意な人は、物事がスムーズにすすむよう考えてくれるタイプの人です。
いつもと違う場所に行く場合(旅行など)やイレギュラーなことがあるときなど、誰よりも物事がスムーズにすすむことや予定の時間内で行動できるよう考え、動いてくれます。
さらに、訪問先の方のことまで配慮し、予定を立ててくれているので、大変心強い存在です!
また複数で行動する場合、メンバーの「好み」も把握していることが多く、予定していた場所以外のところに立ち寄るなど、メンバーの誰かが喜ぶ「工夫」や「配慮」も積極的に手配してくれます。とてもサプライズ上手な人なんです。
相手に喜ばれることがとても嬉しく、喜ばれると本人も気分がよくなるというのが段取り上手な人の特徴です。また、自分がおこなったことに対し、謙遜する人が多いです。
彼ら(彼女ら)は、素晴らしい段取り力をそなえ、積極的に前には出ないけれど、「縁の下の力持ち的存在」であることが多いです。
こうったことを頑張ることなくやってしまう人と、頑張ってやってしまう人では心の状態に違いはありますが、どちらにしても素晴らしいことには変わりないのです。
決めつけのパートナーシップの改善方法
もしあなたがこれまで相手の気持ちや考えを決めつけてしまっていたら、急にそれを辞めるというのはとても大変なことですよね。なぜなら、相手を決めつけることで相手との関係や状況をほどよくコントロールし、バランスをとっていたからかもしれません。
そうすると、「決めつけをやめる=コントロールを手放す」ということになるので、コントロールを手放す「怖さ」が出てきたりします。
一方、頑張って段取り役をやっていた人にとっては、手放すことが楽に感じるかもしれません。決めつけをやめたい、手放したいと感じている人には、どのように手放すか、その手順も大切です。
決めつけをやめるときの順序
1. 自分が何を優先させたくて決めつけていたのかを知ることが重要
自分が何を優先したかったのかがわからないうちに決めつけることをやめてしまっても、また同じようなことが繰り返し起こってしまいます。原因を知ることがとても重要です。
パートナーシップや対人関係で自分が相手の行動や考えを決めてつけて(しまっている)いるとき、多くの場合は自分のルールが正しいと思っています。
しかし、人それぞれルールは違いますよね。ですので、そういったお互いのルールを一つひとつ話し合えたら、幸せ感を感じることが増えます。
2.重要な原因は、本当になくてはいけなかったの?自分自身を見つめなおしてみる
自分が大事にしているルールをパートナーや周りの人にどれだけ理解してもらっているか、また、相手のルールも知りながらお互いにバランスをとれるかどうか、見つめなおすことでより理解できます。
たとえば、食事のときのルールとして、
自分 『出されたものは熱いうちに食べて、残さず食べる』
パートナー 『食事は相手と楽しい時間を過ごすもので、無理して全部食べなくてもいい』
だったとします。
そして、そのルールをとおしてお互いが「何を優先させたかったのか?」というと、”作ってくれた人の思いや食材を大事にしたい”という共通の気持ちがあります。
パートナーは、『食事は人生にとって贅沢な時間で楽しんだもの勝ち。ときには無理して食べるより、たとえ食事を残すことがあっても、楽しむことを優先しよう。』そう思っていたとしたら、お互いの思いが入り混じったとき、どちらもモヤモヤしそうですよね?
このことでわかるのは、どちらも素敵なことを考えていたということなのです。ですが、お互いの思いが共有できていないままだと素敵な時間を過ごすことができません。完全なるミスコミュニケーションが起こってしまっています。
どちらが「正しいか」ではなく、そのときどきでどちらの思いをどれだけ優先しようかと日々二人で話していくうちに、いつの間にかそんな分かち合いがなくても、当たり前で居心地よい関係になっていきます。
ここで先ほどのケーキの話に戻りますが、
そのときのタイミングやお腹の空き具合、体調や時間でももちろん返答は異なってくるものですが、相手の返事がよくなかったからと、一喜一憂する必要はまったくないのです。
「今日は、そういう気分だったのね。」と思えばいいだけです。
全ての物事をお天気の変化と同じように気軽にとらえることができたら、相手を決めつけることなく、相手の気持ちも快く優先してあげることができ、お互い心が軽やかに変化していくはずですよね。そして、何より自分が一番楽に感じることでしょう。
頑張っていた人は、いつも自分一人で悩み、考えていたことを「一緒に考えてみてくれない?」というふうに相手を誘い、コミュニケーションをはかることで、頑張ることから抜けられるかもしれません。
一人で抱えず、一緒に考えながらすすめたら、より素晴らしいパートナーシップが築けると思いませんか。
ぜひ、一度ゆっくり振り返る時間をつくってみてくださいね。これから先の自分自身、パートナーシップがとても居心地のよいものに変化するきっかけになるかもしれません。