前回、花と風水について玄関に飾る花についてのお話でした。
私自身も訪れたお宅で、まず玄関に花があると「ああ、丁寧に暮らしていらっしゃるのだな」と、好印象を抱きます。
人間も人に会う時、身だしなみをまずは整えますよね。住まいも同じ様に、まずはエントランスをきれいに整える事が福を迎える準備段階ではないでしょうか。
玄関は「福」の入口。リビングは「運気」生み出す場所。そして、人生観が現れる場所。
さて、幸せの入り口が玄関だとしたら、リビングルームはどんな場所になると思いますか?
リビングは、家族の共有スペースであり、もっとも長く時間を過ごす多目的スペース。長時間過ごす場所ですから、そこに住む人たちの「運気」を生み出す場所と言われています。
そしてそれは、どのようなライフスタイルを持った人なのかが現れる空間とも言えるのではないでしょうか。
リビングの空間創りは人生のコンセプトにも通じるように思います。空間に何を取り入れて何をそぎ落とすのかという問題が常に付きまとうからです。
もちろんそれは、年月を経てどんどん変化するものではありますが、最もコアな部分というのは、その方の人生の指針でもあり、ぶれずに持ち続けている基軸ですから、そう簡単に変わるものではありません。
花が好きで、常に家に花を絶やさないという方々と接していると時々はっとさせられる事があります。ふとした、本当に何気ないやり取りの瞬間に、その方独自の高い美意識が表出して来て魅了されてしまうのです。
よく女性は隙があった方がモテるなどと言われますが、その無意識にとった、ふっと力を抜いた瞬間にその方の美が宿るように感じました。
例えばそれは、シュークリームを食べていて、口の周りについたクリームをペロッとなめる仕草や倒してしまったグラスの水を咄嗟にハンカチで拭う仕草だったりが、なんとも魅力的に写るのです。
植物を育てたり花を飾ったり、もしかすると花以外の何かでもちょっとした豊かな時間を持つことが、日々の習慣として積み重なると、やがてそれは美意識を磨き上げ、自信に結びつくように思います。
無防備でいられるのは、自信がある証拠。
「美しさこそ、年月を重ねて身に着けるもの。」と教えてくれたパリマダムの生きる態度を思い起こすのです。
365日コツコツと積み重ねたら、1年後、5年後、10年後はどんなライフスタイルを手にし、どのような歳の重ね方をしているでしょうか。
「ローマは一日にしてならず。」
続ける事が大事なので、まずは小さな一歩からが大切。
そして、習慣として取り入れるには、気軽に楽しめる工夫も大切です。
自宅でお花を生ける場合は、大層なフラワーアレンジメントは飾る場所もなく、花材費も重い負担となります。そこでおすすめなのが、一輪挿しで空間を素敵に魅せるアレンジ方法。
今回は一輪挿しを極めるテクニックをご紹介します。
一輪挿しを極めるテクニックとは?!
一輪挿しは、決まった型がなくどなたでも簡単に楽しめるところが良いですね。
固く考えずに、その時の気分で楽しめるようになると重宝します。
1.一輪の花をスッキリと活けてみましょう。
茎がすらりとしている花は、その立ち姿そのものが美しいですよね。高さを出す場合はこのように、足元にしっかりとリーフ類を入れてバランスをとりましょう。
ダイニングテーブルやキッチンのカウンターなどに置く場合は、邪魔にならない様に、丈が短いものが良いでしょう。
食卓は私たちがエネルギーチャージする場所ですから、花のきれいなエネルギーも一緒に取り入れる事ができそうな気がします。
風水的にもやはり食を囲む場には良い気が流れる様に、花や植物が欠かせないという事は広く知られていますね。
2.花でなくても、例えばハーブ類もちょっとしたスペースに置いて楽しめます。
こちらはアップルミント。どんどん根を生やし、葉を付けて今ではこんな感じに背丈も伸びました。水栽培だと、こまめに水を取り替え清潔に保てます。
これなら食卓の近くにあっても衛生的で安心です。
葉を摘んで、お好みのドリンクに風味づけに入れたり、熱いお湯を注げばミントティーになります。
3.ちょっと華やかに演出したい時は?!
特別な日には、ちょっと華やかに演出したいですよね。
でも、吸水性スポンジをわざわざ買って用意しアレンジ…と考えると尻込みしてしまいそう。そんな時に、少ない花材でもおしゃれに飾れるものがあったら心強いですね。
こちらは試験管がつながった、ちょっとユニークなフラワーベース。
少し高低差を付けながら、自由に好みの花やグリーンを1本ずつ挿すだけなのに、なんだかおしゃれに見えます。
このフラワーベースの考案者はフランスのデザイナーで、当時のフランスでは珍しく、少ない花で活けられる花器として大ブレイクしました。
それが今では世界中に広がって、様々なメーカーから類似品が出ているので日本でも気軽に買えるのが嬉しいところです。
実はこれ、日本のいけばながヒントだったそうです。どこに花を挿すか自分で決められる剣山の利点にインスパイアされたとか。
日本の花文化がフランスのデザイナーによって、新しい切り口で花飾りを楽しめるようになったという事は、とても喜ばしい事であり、花の世界に国境はないとつくづく思うのです。
こうして一輪挿しを取り上げてみると、茶花を思い出します。
季節の花を軽く入れる事を眼目とし、千利休に「花は野にあるように」と言われた様に、自然の風情のままに投げ入れる事が根本にあります。
自然のままに…それが一番美しい姿であるという事を花からいつも教えられます。
私自身も斯くありたいと思い、花と共に豊かな時を過ごせたら幸せだなと思います。
[ad#co-1]